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「ホテルの部屋で男と女が一緒。それも浮気相手となれば、することは一つだと思いませんか?」
まゆみは仕事で慣れているのか、緊張している様子はなかった。年は良一の方が上なのに、何もかも彼女のペースで物事が進んでいるようだった。
不意にまゆみが部屋の照明を落とした。薄暗くなった部屋で、良一の視界が狭まると、何かが床に落ちる音がした。
良一にはそれがまゆみのバスローブだということがわかり、薄暗い中、まゆみを見ると、身体の輪郭がぼんやりと浮かび上がっていた。
細く華奢な体から目が離せない。けれど、まだ理性は残っていた。
「その、さすがにまずいんじゃ」
「ふふ、良一さんが嫌でしたら、私はこのまま何もなくても構いませんよ。二人でホテルで過ごしたという事実だけでも十分ですから。ただ――」
「ただ?」
「奥様はどうでしょうか? 良一さんを裏切って、良一さんの知らないところで、何度も浮気相手と身体を重ねていた」
良一の脳裏には妻とその浮気相手の情事がはっきりと浮かんだ。途端に胸が苦しくなり、息が荒くなった。
まゆみは裸のまま良一に歩を向けて、淡々と続けた。
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