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「…ただいま」
母がドタバタと僕の前にやってくる
「心配したのよ!?」
世界が終わるんだ、心配くらいするか
「お父さんがもうそろそろ帰ってくるから、あなたはここで…」
母が言い終える前に僕は言い放った
「いい、自分の部屋にいるから」
僕は2階に上がる
「ちょ、ちょっと!」なんていう母の声にも耳を貸さずに僕は部屋へと入った
「……はぁ」
鏡を見る
男の部屋に鏡なんてあるのはおかしいと思うかもしれないけれど
ここは元々は死んでしまった祖母の部屋なのだ
この姿見は、形見だからと僕がとっておいたものだ
「……」
無言で、鏡の向こうの自分を見つめる
なんでこうなってしまったんだろうか
「……なんで…」
僕がただ独り言でそう言うと
『なにか悩んでるようだね』
ふと、鏡の向こうから声がした
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