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鏡の世界
「ここが…鏡の世界…?」
『そうだよ、君が住んでた世界とそれほど変わらないだろう?』
世界観は僕が住んでいた街そのものだった
『まぁ、鏡だからね
性格がみんな真反対なのさ』
そう言われて周りを見てみる
いつも怒らない母が怒っていたり
逆にいつも腹立ってる父はしゅんとしていた
『さて、君の願いを叶えてあげよう
…どんな世界がいい?』
「僕の願いで叶うものなの?」
『もちろん』
僕は考えに考えた末、答えを出した
「……幸せに暮らしたい」
『じゃあ誰が必要?
場所はこのままでいい?』
「場所はこのままでいいよ
…優しい父さんと母さん
…頼れる親友、優しい先生
…………あとは…」
言葉が詰まった
本当にこんなことしてていいんだろうか
「……彼女…かな、できたことないし」
どうせ元の世界は終わりを告げてしまう
なら、もう好きに生きてもいいよね?
『かしこまりました〜』
まるで接客する店員のような返事をされたあと、僕の目の前は真っ白に染まった
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