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現実
「先生…息子は…」
「すみません…どうすることも…」
一人の女性は、診察室にて医師の前で泣いていた
一人息子が寝たきりになってしまったからだ
目も覚ましてくれず、それどころか医師にもこれ以上何もできないと言われてしまった
「……」
女性の夫と思われる男性は女性の肩を抱き、背中をさすっていた
ただすすり泣く声が聞こえる
「鏡病」
鏡に魅入られてしまった人間が鏡の世界(夢の世界)に永遠にとらわれてしまう病気
運が悪ければ一生目を覚まさない場合があるらしく、女性はその事実を知った瞬間に泣いていた
「ごめんね…」
女性は自分の息子の病室に出向くなりそう呟いて息子の頭をなでた
大粒の涙が息子の頬に落ちた
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