夏色のママ

1

この海辺に来たのは何年ぶりだろう。
覚えてるのは高校の頃　
友人たちと海水浴に来た時以来だから、もう15年以上も前になる。

あの時は住んでいた町から電車とバスを乗り継いで、昔の記憶を辿りながらこの海辺に着いた。
途中、昔住んでいた家を見つけて胸を締め付けられた。

そこで過ごした両親との記憶は、あちらこちらに鏡に映る欠片のように輝いては消えて行ったのを覚えている。

沈んで行くオレンジ色の太陽はまるで溶岩が流れながら水平線に広がっているように見える。

私は砂浜に腰掛け砂粒を摘んではサラサラと風に乗せていた。