8月30日

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 本当は言う必要がないとわかっている。言うと、精神年齢が低いことがばれてしまう。いやもうみんな知ってるか。 「友だちでいてね、これからも」 私が呟くと、悠星が私の頭をくしゃっとなでた。にこも気楽な感じで言う。 「七海、大丈夫。もしこの先会えなくなったとしても、なんやかんやでつながってると思うよ、私たち」 「あ、そうだ、お土産」 咲が私たちに小さな小袋をくれた。 「なんだよ、メープルシロップじゃねえの」 瞬がいつもの軽口をたたく。 「数買うと重すぎて、空港で荷物が引っかかっちゃうの」 中身は、小さな赤いメープルリーフがついたキーホルダーだ。 「ベタだね」 美大志望のにこが言うと咲が怒った。 「もう何なの、さっきから!」 「私はありがたくもらっとく」 デザインなんかどうでもいい。5人が共有できるものがあることが、今の私には重要だった。 「ありがとう~七海ぃ」 「こっちの方がありがとうだよ、咲」 咲が私に抱きついて、瞬たちに悪態をつく。 「まったくこいつらときたら」 そのとき悠星が小さな声で、サンキュー咲、と言ったのを、みんな聞き逃さなかった。 「わ、悠星、気持ちわる」 「悠星が素直だ、おかしい」 「……みんな俺のこと何だと思ってるんだ」
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