窮猫、龍を愛す〜龍王に召喚された野良猫〜

SS. レイチェの冒険

みんながきづかないうちに、ここをでなきゃ。

はんかちもった。
すいとうも。
あさごはんで、こっそりのこしたぱんも、ぽしぇっとにいれた。

そうだ！おてがみかかなきゃ！
おかあさん、いつもおとうさんにいってるもん。

『行き先くらい言ってから出掛けてちょうだいっ！！』

って。だからわたしもちゃんとおしらせしていくね。

『えいをたすけにいってきます！
れいちぇ』

ひとりででかけるのは、はじめて。
どきどきするよ。
でも、えいがたいへんなんだ！
おとうさんたちがはなしてたのきこえちゃった。
わたしだってえいをたすけたい！
だって、えいはわたしをたすけてくれたんだもん。
おかえししなきゃ。えい、きっとないてる！

みつからないように、べらんだでへんげする。
わたしはあおいりゅうになって、おしろをめざした。

すぐにおなかがすいて、きゅうけいした。
ぱんはすこししかなかったし、われてぐじゃぐじゃになってた。
のどがかわいて、おみずもほとんどのんじゃった。

あとどのくらいとべば、つくんだろう。
なきそうになったけど、がまんする。
がまんして、またがんばってとびつづけた。

とちゅうでなんどもきゅうけいした。
なみだがでてくるけど、なかないでがんばる。
だって、えいのところにいかなくちゃ。
えいに、『だいじょうぶだよ』っていってあげなきゃ。

あ…おしろがみえてきた！
もうすぐだ！もうすぐ、えいにあえる！

ほっとしたら、なんだかきゅうにちからがぬけてきた。
あれ？
つばさがうごかない…どうしよう…
おかあさん！たすけて！
おとうさん、こわいよぉ！

ふらふらといいにおいのするおにわにおちてしまったみたい。
きれいなばらがたくさん！

おなかすいた…のどかわいた…
えい、どこにいるの？
ここ、どこ？おしろ？
おかあさん、こわいよ、たすけて！