SS.結婚祝い

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さっきまで面白そうに笑っていたルースが、急に真顔で俺を見つめている。 と、見る間に金色の瞳がじわりと涙の膜を纏い始めた。 どうしたんだろう。最近、涙腺がユルいんだよな、ルースって。 俺、また何か変なこと言ったかな。 あれこれ考えるけど、俺にはその理由の見当がつかず、ただルースを見つめていた。 ついに決壊して、つ…と零れ落ちた涙を手の平でぐいっと拭ったルースは、俺を抱きしめて声を振り絞るように告げる。 「…霙…俺の側に、この国に来てくれてありがとう…お前がいるだけで、俺の生きる世界は鮮やかに華やいで、楽しく穏やかに流れていく…俺はもう、お前なしでは生きていけない。 愛している。霙、お前を心から愛している。 どれほど言葉にしても足りないんだ…」 「ルース……」 俺は、ルースの首に回した手をゆっくりと外し、そのままそっと両頬を包み込んだ。 ルースの涙に光る瞳に俺が映っている。 「俺も。俺だってルースなしでは生きていけない。 ルースは俺のものだもん。誰にも渡さない。 ねぇ…『愛してる』って何回言えばお互いに満足できるのかな。 ルース、愛してるよ。」 破顔したルースに引き寄せられ、唇が重なる。 ぬる、と無遠慮に忍び込むルースの舌に自分のそれを絡ませて、その行為に夢中になっていく。 ごつごつした大きな手のひらが上着のボタンを外し、薄い胸を撫でていく。 既に尖った粒を探り当てられ、思わず甘い声が漏れた。 頭が蕩けそうになったその時 「おーーい!ルース!お妃さーん! いるんだろぉ!?」 ドンドンドンとドアを叩く音と、呑気なキリヤの声が聞こえてきた。 「お待ち下さいっ!幾らイスナの領主とはいえ無礼なっ!」 「ちょっと、キリヤ様っ! 図々しいにもほどがあるわよっ!」 キリヤを止めようとするガルーダやルウルウの声まで聞こえてきた。 チッ、と舌打ちをしたルースは、俺を抱きしめたまま動かない。
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