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「ルースっ!!!」
このままではダメだ!
怒りに任せて龍体化すれば二度と人型をとれなくなり、感情のまま行動する動物と大差ないまま一生を終えねばならなくなる。
“ただの龍”に成り果てるのだ。
俺が愛し俺を愛してくれるルースという男がこの世からいなくなってしまう!
『我々は常に怒りの感情を制御せねばなりません。
それには番の愛情が不可欠なんです。』
龍の国に来た当初、ガルーダから教えてもらったことを思い出した。
マズい。
あの時は全くそんな気はなくていい加減に聞いてた……こんな時にどうすればいいのか、ちゃんと聞いておけば良かった。
“番の愛情”ってどう表せばいいんだ!?
俺がルースを愛してるなんてことは分かりきっているのに。
霙は咄嗟にルースに飛びつくと、思いっ切り抱きしめた。
火傷しそうな程に熱を帯びたルースの身体を霙は力一杯胸に掻き抱いた。
霙の身体にルースの熱が突き刺さる。
だが、不思議なことにその熱は霙の身体を焼くことはなかった。
それと入れ替わるように、霙からルースへと慈しみと優しさに溢れた愛の光がルースを満たしていく。
「くっ…ルース、ルース、落ち着いて!
ルース、俺がいるからっ!
ルースっ!!!ルースっ!!!」
霙の泣き叫ぶ声に、やっと我に返ったルースの身体から、金の光と熱が消えた。
「ルース……ルー…」
「霙!?霙っ!
エルグ、早くドリナ先生を!
霙、霙っ、しっかりしろっ!霙っ!!」
良かった…ルースはちゃんと俺のところに戻ってきたんだ。
霙は口元に微笑みを残し、がっくりとルースの腕の中に崩れ落ちた。
意識は段々と薄れていく。
「霙、霙…あぁ、俺は何ということを……
霙、あぁ……霙っ!」
ルースの悲痛な声を遠くに聞きながら、ルースが元に戻ったのだと安堵した霙は、意識を手放した。
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