炙り出し

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サリーナは1日と間を空けず、毎日薔薇の咲き誇る庭園へと足を向けた。 「『また』って何時(いつ)のことなのかしら。 期待する私が馬鹿なのかしら…」 エルグの笑顔と掛けられた言葉を思い出しては、サリーナはため息をついていた。 「サリーナ様、どうかされたのですか?」 毎日庭園に出掛けて行っては薔薇の花を抱えて、ため息をつきながら帰ってくるサリーナに、同じ侍従のシンディが声を掛けた。 「いいえ、何でもないの。気にしないで。」 「そうですか……それはそうとサリーナ様。」 シンディが声を潜めて話し掛けてきた。 「最近、頻繁にラジェ様の元に不審な男がやって来てますよね? 私、見覚えがあるんです。 確か、グルディ様のお屋敷に出入りをしていた男です。 あのひとは誰なんでしょう。何のためにここへ… ラジェ様とグルディ様に、何の繋がりがおありなのか…」 「シンディ、滅多なことを口にしてはいけません。私達は余計な詮索をしてはいけない。 無闇矢鱈な好奇心は身を滅ぼします。 ここで見たこと、聞いたことは忘れなさい。 いいわね?」 「でもサリーナ様! 私達、追い出されるかもしれないんですよ!? もっと若くてかわいい子達が私達の代わりにやってくる、ってラジェ様もそう仰ったし、世間の専らの噂です! 長年お仕えしてきた私達に対して、何と酷い仕打ちだと思いませんか!? 私は、もう我慢ができませんっ! 一体」 「しっ!黙って!」 サリーナは、白熱するシンディの言葉を遮った。 「シンディ、何処で誰が何を聞いているか分かりません。 あなたの不満や不安は尤もなこと。 でも、口に出してはいけない。 …何かが起ころうとしている…私達はそれを見極めなければ。 こんな時だからこそ冷静に。 いいわね?」 「…分かりました…」 サリーナは、泣きながら出て行ったシンディの背中をため息で送った。 何かが大きく動こうとしている。 何故かそれだけは確信があった。
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