炙り出し

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今日もサリーナは庭園へと足を運ぶ。 あれから2週間が過ぎたが、エルグとは会えない日々が続いていた。 咲く薔薇の種類も移り変わり、あの時に摘んだ薄いピンクから今は真っ白な大輪の花が咲き誇っている。 「今日もお会いできなかった…」 ため息をつくと、いつものように薔薇の入った籠を抱え、元来た道を歩き出した。 ふと、見上げた空に、一直線にこちらに向かって来る銀色の輝きが見えた。 「まさか……」 それはサリーナに照準を合わせたように、真っ直ぐに向かって来る。 やがて、銀色の光を放つ大きな龍が少し離れて地上に舞い降りた。 サリーナは瞬きも忘れ、銀龍に見入っていた。 それは次第に人型をとると、サリーナの元に駆けてきた。 「サリーナ殿!」 息を切らして目の前に現れたのは、お会いしたくてお会いしたくて堪らなかったひと! 「驚かせてすみません。 あなたにお会いしたくて急いで飛んできたので……」 照れ臭そうに視線を逸らせるエルグに、嬉しさと恥ずかしさと驚きとがごちゃ混ぜになり、サリーナは思わず涙ぐんでしまっていた。 「えっ!?あの、サリーナ殿!? あっ、どうしよう。驚かせ過ぎましたか? すみません、あぁ、泣かないで。」 慌てふためくエルグに、サリーナは泣き笑いで答える。 「ごめんなさい、違うんです! あの、大丈夫ですから…申し訳ありません!」 2人で謝り合っていると、おかしくなって吹き出した。 エルグはハンカチを差し出すと、サリーナの涙をそっと拭いた。 「仕事が立て込んでて…もっと早くにお会いしたかったのですが…すみません。 あぁ、白い薔薇もよく似合う。サリーナ殿、今日も美しい…」 思いを寄せる男に熱っぽい目で見つめられそう言われて、サリーナはくらりと眩暈がした。 夢か(うつつ)か。 このひとは私のことを!?…いえ、勘違いも甚だしい…私は一切の感情を捨てたはず…
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