水玉模様

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 当日── 「海、だぁぁぁ!」 「砂浜あっつ! 望美、大丈夫か?」 「ん? あ──あちちっ」  砂浜の熱さを忘れてしまうほど崇くんとの海デートに舞い上がっていたようだ。 「じゃあ、思う存分遊ぼうぜ!」 「うん!」  一緒に泳いだりどっちが綺麗な貝殻を見つけられるか勝負をしたり海の家で焼きそばを食べたり──ひとしきり海を満喫していたらあっという間に夕方になった。 「そろそろ帰るかぁ」 「うん、あ~日焼けが痛いぃ……」 「俺は元から焼けてるから大丈夫だけど望美は肌が白いもんな。ちょっと見せてみ」  熱い肌に手が触れて心臓が口から飛び出しそうになる。  ただ日焼けを見るだけだ。  なんの下心も無い、はず。 「赤くなってる?」 「うん? ん? ちょっ……ちょっと背中の水着ズラしてもいい?」 「え?」  私が背中を擦ったせいで水着がズレたらしく焼けた肌との境目を見た崇くんが水着をもう少しズラしていいかと聞いてきた。 「いや、見間違いかもしれないんだけど──ちょっとだけ! ちょっとだけ背中の部分、ズラさせて」 「え、うーん……ど、どうぞ」  崇くんが背中の水着をそっと指で絡めとる。 「ぷっ……はっ、はははっ!」 「え、なに!? なんで笑ってんの!?」 「いや、ひひっ……ちょっヤバい。俺後ろ向いてるからさ、ちょっと水着ズラして肌見てみ」  水着をズラすなり爆笑する崇くん。  なぜそんなに笑うのか、それを確認するためには自分の目で確かめなければならない。彼が後ろを向いたタイミングで胸の部分の水着を少しズラし肌を確認してみた。  すると─── 「ぎゃっ! なにこれ!?」 「ぷははっ! ヤバいだろ」 「ヤバいって問題じゃないって~」 「水玉模様」 「嘘でしょ~? 水玉模様の水着って水玉に日焼けしちゃうのぉ? 最悪だよ~」  そう──肌が弱い私の皮膚は紫外線をスポンジのように吸収した。そして白と黒の水玉模様は容赦なく太陽を吸い込み、その丸いシルエットを私の皮膚に刻印したのだ。  キスくらいできたらいいなぁなんて考えていたがもうそれどころじゃなかった。帰りの電車の中でも崇くんは全身水玉女と私を笑いまくっていたからだ。
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