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「ーーグハッ、うそっ、両方とも受賞って……」  9月中旬、出版社から届いたメールで肩を落とす。嬉しいけれど、授賞式にマスコミがきて対面で取材を受けないといけない。  本名も実年齢も出身校までもが公にされてしまう。 「着ぐるみでも着て、授賞式に出ようかな……」  スバル小説新人賞も小説藝賞もいわゆる文学賞だから、受賞した事に関しては名誉な事で問題ない。  だけど、動画配信サイトでシンガーソングライターとして活動したり、小説投稿サイトに小説を投稿しているのは、学校にバレたらまずい気がする。  金銭は申請してないから受け取ってない。だから、アルバイト収入にはなってない。 「授賞式は?小説藝賞が10月28日でスバル小説新人賞が11月11日か。俺が付き添うわ」 「ーーえっ、嫌なんだけど、余計目立つ。遥翔兄が恋人だと憶測されるのも嫌だし、実兄だと思われるのも嫌!!」 「1人で行かせるのは心配だ。SPを雇うつもりだが、そいつが信用できるかわからない」  父も母も兄2人も業界で顔が知られてる。だから、付き添いされると悪目立ちしてしまう。 「マスコミはハイアナなところがある。だから、すぐに家柄はなんか突き止められる。プロフィールに生年月日と京都在住の女子高生って書かれるだろっ?学校には報告しないといけないし、正々堂々と授賞式に出よう!!」
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