AJURNAMAT【アヤーナマット】

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それから彼に会えたのは3日後だった。不思議な夢もここ数日は見なくて ぐっすり眠れた。夕涼みに散歩に出かけ、川原沿いの道を歩いてると こないだの場所に彼が居た。私は声をかけようと思い、土手を歩く。 「こんばんは」 「あれ、こんばんは。お散歩?」 私はうなづく。 「今日も夕日がキレイに見えるね」 彼は言った。 「近くに住んでるんですか?」 私は赤く染まっていく空を眺めながら尋ねた。 「昔この辺りに住んでいてね。それで今は2週間だけこっちに戻ってきてるんだ」 彼は私の方を向いた。 「実は この川原で天然石を落としてしまって探していたんだ。光の角度によって いろんな色に見えるし自分の気分や季節や気温でも色が変わる 不思議な石なんだ」 彼は言った。 「そんな不思議な石があるんですね」 私はその天然石に興味をもった。 「うん。月の石とも言われてる」 きっとすごく大切なものなんだろうなと私は思った。 「そうだったんですね。良かったら私も探すのお手伝いします」 「ありがとう。見つからないかもしれないけど、なんだかやっぱり 気になってね。明後日またここにいると思うから、時間があったら来てみて」 彼は少し微笑んで言った。 「そういえば名前も聞いてないね。僕は理月」 「私は葵です」 私と理月はそのまま別れ、私は夕日が沈んだ後の西の空を眺めた。 キレイな三日月が浮かんでいた。
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