#24 未来は未定

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「二階堂くんのお父さんって本庁にいるじゃない。確か経済部のお偉いさん」 「そうだったな。平原も大変だ」 「部が違うだけマシだけど、プレッシャーだよね。まあ、二階堂くんのほうがあれだけ惚れ込んでるし、いまさら親がどうこう言うこともないんだろうけど」  わたしは奇跡的に異動がなく、地域振興課5年目を迎えることとなった。驚くことに、森内さんと並んで一番の古株だ。 「麻紀の異動がなかったのは正直驚いた。順当にいけば平原より早く動くはずなのに」 「そうなんだよね。希望しなかったし、結婚したばかりだからそこを考慮されたのかな、って思ってたんだけど……」  つい昨日のことだ。業務についての報告を終えたあと、課長からある話をされた。現時点では、まだ悩む必要はないのかもしれない、けれど……。 「おまえ、またなにか隠してないか」  彼の鋭い声にどきっとする。さっきから、どうして声だけでわかってしまうんだろう。 「ううん、なんでも……」 「電話の向こうのことは分かるって言っただろう。可愛い奥さんに隠しごとされるなんて、旦那としての自信をなくしそうだ」  声だけでは本気なのか冗談なのか判断がつかない。だけど、むっとしているのは確実だ。  あのね、と口火を切ると、巧が前のめりになったのが透けて見えた気がした。電話の向こうのことは、わたしにだってよくわかるのだ。
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