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「なに言ってるの。早く……」
「麻紀だったら何色が似合うだろうとか、白いドレスを選ぶだけで迷って大変だろうなとか、あまりにも綺麗で誰にも見せたくなくなるんじゃないか、とか……」
二階堂に悪いな、こんなこと考えてたら。ぎゅっと手を握られて、また胸が高鳴った。
「来年中には挙げような。俺も早く、自慢の可愛い奥さんを見せびらかしたい」
「もう……」
「でも、困ったな。おまえが化けたらどんなことになるんだ?ちょっと怖くなってきた」
「化ける、って言い方やめてよ。そんなに期待されても困る」
「むしろ期待しかない。二階堂のことを言えないくらい、ずっと見惚れてるかも」
「バカなこと言ってないで早く戻ろうよ。そろそろ写真撮りたいなって思ってたの」
1ミリくらいの嫉妬心を見抜かれてしまったのだろうか。もしそうなら、ちょっと恥ずかしい、けど──。
「おまえのドレス姿、すごく綺麗なんだろうな。……やっぱり誰にも見せたくない。でも、見せたい。どうしたらいいんだ」
ビシッと決まったスーツ姿なのに、その情けない表情はなんなのよ。小さく吹き出すと、ほんの一瞬、触れるだけのキスをされた。
こんなことで嬉しくなっちゃうなんて単純すぎるかな。それにしても、わたしの旦那さんは本当にできる男だ。
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