#25 君と (一生) ロマンスをしよう

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「ただいま」 「おかえり」  今日は早かったんだな、と彼がスーツの上着を脱いでソファーの背もたれに掛ける。 相変わらずのスリーピーススーツ姿だ。ちなみに、ダークグレーのストライプ柄のもの。お気に入りのワインレッドのネクタイを締めているということは、大事な会議でもあったのだろうか。 「おかずは昨日作っておいた肉じゃがね。あとはサラダ」 「悪いな。おまえのほうが遠いのに」 「いいの。その代わり、明日は巧にお願いするね。残業になりそうだから」  キッチンを出てエプロンの紐を解こうとすると、後ろからぎゅっと抱きしめられた。麻紀、ただいま。もう一度噛み締めるように言われ、「おかえり」と頬にキスをしてあげる。 「今日こそあれ言ってくれよ。お風呂とご飯、どっち?ってやつ」 「やだ、発想がおっさん」 「おまえがいい、って言いたいんだよ」 「でも、それを言ったら夜ご飯にありつけないでしょ」 「どうして分かるんだ?」 「当たり前でしょ。夫婦、だもん」  日々は続く。いいことも悪いことも、変わっていくこともあるだろう。だけど、わたしはここにいるし、あなたもここにいる。それがすべて。それだけが変わらないこと。  なにがあっても、離れないでいよう。たくさん愛を伝え合って、笑っていよう。ひとりじゃ感じられなかった幸せを、ふたりで紡いでいこう。 一緒にいよう。一緒に生きていこう。──君と、あなたと、一生、ロマンスをしよう。
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