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──Side 巧
軽く達したせいか、立ち上がった彼女の膝は小刻みに震えている。壁に手をついて不安そうに振り向くその表情から、色気と厭らしさが立ち昇る。
バスルームで、この体勢でするのは初めてではない。弾力のあるヒップを両手で撫で回し、しっとりと濡れた美しい背中に舌を這わせた。
「麻紀は本当に綺麗だな。おまえの同僚も褒めてたよ。すごい美人、華やかな人だって。俺だけの可愛い奥さんなのに、ちょっと癪だよな」
絶えず蜜を吐き出すそこに指を這わせ、柔肌を割ってまじまじと眺めてやる。
ああ、こんなところまで綺麗だ。跪いて舌先で感触を確かめながら呟くと、「やだ、見ないで」と泣きそうな声が返ってきた。
「どうしてほしい?このままずっと見ててやろうか」
彼女が首を大きく横に振る。鏡に映った顔はだらしなく扇情的で、先ほどのキリッとした姿とはまるで別人だ。
「ほら、ひくつかせているだけじゃ分からないぞ」
真っ赤に熟れたそこを吸い上げると、「やああぁぁっ」とかわいらしい声が響いた。慌てて口元を押さえているけれど、もちろん意味はない。
「巧、もう……いじわる、しないで……」
涙目と膨れた唇、紅を差したように染まった頬、乱れて首に張りついた髪、赤い痕がいくつも残るうなじと背中。
ごくりと唾を呑んだ。意地悪なのはどっちだ。
彼女の艶かしさに中てられて、求めているのも、欲しいのも俺のほうだ。痛いくらいにそそり立った自身がそう主張する。
「意地悪なんか、してないだろう?可愛がってるんだ」
こんな湿気の中にいるというのに声が掠れてしまう。欲しくてたまらない。早くその、とろとろに蕩けたところに埋まりたい。
「麻紀……いいか?」
熱い身体をそっと腕の中に収め、髪にキスを落とす。「頼むから、いいと言ってくれ」──耳元で懇願すると、俺の目を見て小さく頷いてくれた。
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