6月24日(下澤裕貴2)

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 このあとは現在の記憶が過去の自分に移植される。時間的にはまだ学校にいるころだ。  裕貴がそんなことを考えた矢先、急速に光が消えた。 「沙弥さん?」 「下澤くん、あれ……」  沙弥が柱の上をさした。裕貴は振り返り目を凝らす。遠い上に、街灯と月の光だけでは顔も服装も分からない。でも、傍らに大きな箱のようなものがある。  次の瞬間、黒い人影はその箱を橋の上から捨て、洋館の方向へ逃走した。併せて、箱が川に落ちた音がする。音から察するに、それなりに重いもののようだ。 「不法投棄?」 「違う! 今のスーツケースっぽくなかった……?」  沙弥の顔が青ざめている。もし、沙弥の言うことが正しいのなら中に入っているのは……。 「確かめてくる……」 「私も、行く……」  見るべきなのか、見る必要ないのではないかっと2つの感情がせめぎ合っている。このまま過去に戻ってしまえばいい。そうすれば全部無かったことにできるかもしれないのだから。  けれど、裕貴は導かれるように足を前に動かした。  裕貴は沙弥を置いてけぼりにしない程度の速さで、しかし、投げ込まれたものが流れて行ってしまわない程度の速度で走った。
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