11人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめん。取り乱した。早く戻って麻弥さんを助けに行こう!」
裕貴は涙を袖で拭うと、麻弥の瞼を優しく閉じた。裕貴が抱き締めるが麻弥の体はピクリとも反応しない。ホンの数時間前なら泣くほど喜んでいただろうに……。
「今日の15時くらいに戻るから。多分麻弥は学校にいるから。麻弥に事情を話して家に帰らないように伝えるし警察にも不審者がいるって通報するから。でも、今日の約束はまた今度ね?」
麻弥はきっとガッカリする。家に帰ったら「また予知をくるわせた」と夜叉が降臨するだろうが、その方が何万倍も良い。
「僕が魔法のことを知っているのは内緒のままだから……伝えて『手料理楽しみにしてる』って」
「それは、自分で伝えるべきだよ」
沙弥は魔法を発動させる。光に包まれながら裕貴は麻弥耳元で「ごめんなさい。次は絶対守る」っと誓った。
それを最後に、世界はやり直すことになった。新しい世界では丁度学校が終わったところ。沙弥は急いで麻弥の教室へ向かったが、もう学校を飛び出していた。廊下を小走りで進みながらスマホを取りだす。
最初のコメントを投稿しよう!