6月24日(天川沙弥2)

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『もしもし?』  電話に出た麻弥は明らかに不機嫌だ。裕貴のために美味しい料理を作ると意気込んでいたから、早く帰って下ごしらえをしたいのだろう。  自分の教室に戻ってきた沙弥は窓から麻弥の姿を探した。麻弥らしき人物は見えない。 『用がないなら切るよ』 「待って待って! いくら何でもセッカチ過ぎ! 良い? よおく聞いて」  クラスメートに聞かれないように沙弥は起こったこと全てを話した。全部話すまで麻弥は黙って聞きつづる。 「ーーーーだから、今日は家に直行しず、人の多いところで時間を潰してて」   そこまで話しを終えたところで麻弥から大きなため息を頂いた。 『バカ!』  ついでに、大声での罵倒もだ。今の一撃で耳の奥がキンキンするのでスマホを反対の耳に当てた。 『また私の予知を狂わせて!』 「悪かったって!」 『下澤くんには、“急用ができた”ってキャンセルしてもらう』 「うん。でさ、未来予知で犯人、見ることできる? 警察には通報するつもりだけど、捕まらなかったときのためにね」 『ちょっと待って! ここだと人目につくから。終わったら電話する』  沙弥は電話を切った。そのままスマホで時間を確認する。前回麻弥は家で襲われた。あまり早く警察に通報しても犯人がいない可能性もある。警察に電話するのは本来麻弥が家に着いていた時間を狙って、だ。  クラスメートたちが順番に帰って行く。比例するように教室に静かな時間が増える。  麻弥から電話があったのは野球部の生徒が「遅刻する」っと叫びながら出ていったときだ。 「もしもし。どうだった?」 『……変わってた。沙弥の言った通りだった』 「誰だった……?」 『…………大和田俊之』 「なんで大和田くんが?」  突然、通話が切れた。折り返すが麻弥は電源を落としてしまったらしい。「現在この電話は〜」と繰り返されるだけになってしまった。    
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