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「……とりあえず彼氏じゃないとするとするなら、友達とか?」
それも即否定した。
「麻弥に聞いたとき『なんのこと』ってとぼけたの……友達なら隠す必要ないでしょ?」
「そうだな。ワザワザ隠したとなると沙弥さんに知られたくない秘密があるのかも」
沙弥にも関係の言えない相手。直接あるいは間接的に麻弥の死に関わっているかもしれない。現状の少ない情報では1番怪しい存在だ。
「夏休みに入ってからは、麻弥の外出が多かったように思う。行き先を教えてくれなかったし……。そのまま夏休みが明けて9月10日……麻弥は学校から帰って来なかった」
その先は聞く必要がなかった。その4日後麻弥の遺体が発見されたというニュースが流れる。つまり9月10日がタイムリミットと考えるべきだ。
「全然知らなかった……」
事件の報道で麻弥が行方不明になっていたことを知ったが、それより前に麻弥に“何か”があったらしい。
「知らなくて当然よ。麻弥が行方不明になっていたのは警察しか知らないから」
「そうじゃなくて、さ……」
裕貴は麻弥の連絡先を知らない。もし、知っていれば……連絡を取っていれば話を聞くこともできたかもしれない。
「……いや、なんでもない」
いや、そう考えること自体おこがましい。麻弥との関係は友人と呼べるようなものじゃなかった。連絡先を知っていても相談なんてしてくれなかっただろう。
「なら、先ずはその男を特定することからか……」
「話しはそんなに簡単じゃないよ」
「えっ?」
「私は過去干渉の魔法が使える」
そうだった。今こうしているのも沙弥の魔法だ。沙弥の魔法を使えば男の特定も、それ以前に麻弥の死を回避することだって出来ていたはず。
「そっか。そもそも麻弥さんは未来予知が使えるんだよね? なら自分の死を回避することだってできていたんだ……」
自分の死を知ってなお、それを受け入れている状況‥‥‥もしかしたら自ら望んでいるのかも。
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