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9月7日2回目(下澤裕貴)
裕貴が目を開けると、そこは天川家に向かう道の途中だった。隣には麻弥がいて、暑さにへばっている。
裕貴の視線に気がついた麻弥は「暑いね?」っと笑ってみせた。
暑さには参っているようだけど、隠し事をしているようには見えない笑顔。麻弥は隠し事が上手なよう。ちゃんと彼女を見ていないとダメだ。
無防備な麻弥の腕を摑む。
「ひゃぁっ! ど、したの? いきなり……」
麻弥が驚いて声をあげる。駅で会ってから麻弥が未来予知を使った様子はなかった。これが驚いた演技でなければ沙弥の魔法の効果により麻弥の予知を超えたということなのだが……。
「んー、ちゃんと捕まえておかないと何処かに行ってしまいそうだったからさ」
「えーと、えーーっと……よろしくおねがいします」
麻弥は抵抗する素振りをみせるどころか、腕の主導権を譲ったように腕を預けてきた。
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