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9月8日7回目(天川麻弥)
目が覚めてから繰り返し未来予知を行い、その回数と同じだけ同じ未来を予知していた。「順調、順調」とご満悦だったが、登校前に突然未来が変わった。沙弥が着替えるために部屋に籠もっていたときだ。セーラー服に着替えるだけのはずなのに長かった。裕貴と電話かもしくはメッセージのやりとりをしていたのだろう。
その結果が新しい未来だ。
「まったく……。また、私の予知を狂わせて」
過去に干渉できる沙弥だけが未来予知を変えてくる。新しい未来を見せてくれるのはワクワクする一方で、こういう大事な局面での変化は面白くない。
麻弥は座席を立ち上がった。
「麻弥?」
降りる駅にはまだ早く不思議そうに沙弥が見上げた。
「ごめんね沙弥。急用ができたから、勉強ちゃんとするんだよ?」
「学生の用事は勉強だけでしょ?」
沙弥の頭にポンッと手を乗せて別れを告げると電車から飛び降りた。電車が走り出す刹那、後ろを向くとドアを挟んで沙弥と目が合う。
麻弥が死を選んだのを受け入れてくれた……わけじゃなさそうだ。
出発した電車を見送り沙弥の瞳を思い浮かべる。何か企んでいるのか?
疑念はあるが未来予知の回数を増やして、未来が変わったときその都度対応していけばいい。
それに麻弥自身が本気で運命を変えるために動かなければ、殺される運命は変わらない。もう、それを決定づける選択肢はとうの昔に選ばれているのだから……。
麻弥は「さてと」っと伸びをした。
「学校をサボって……仕方無い人だよ、もう」
およそ1時間後に裕貴が小海高校へ押しかけてくる様子が視えた。先ずやらないといけないのは裕貴が生活指導のお世話にならないようにすることからだ。
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