11人が本棚に入れています
本棚に追加
広大な駐車場の一画、従業員専用スペースに駐車した。他にも何台か停まっている。飲食店は翌日の仕込みがあるし夜遅くまで営業している店もあった。いかに台風が来訪中であっても竜宮城が完全な無人になるには時間が浅いようだ。
「仕方無い。時間もある」
時間を気にしていた大和田は諦めた様子で運転席を降りた。後ろへ周り後部座席の扉を開く。そのまま麻弥の腕を掴む。
「あっ……」
そのまま座席に押し付けられるような格好になった。大和田は麻弥を抑える手とは逆の手でダンボールを漁る。
取り出したのはガムテープ。それで麻弥は口を塞がれダンボールの中に押し込まれてしまう。
ダンボールは麻弥が膝を抱えるように入ってギリギリだ。窮屈な箱の中になかに藍色の宝石が埋め込まれた短剣が降りてくる。
その鋒が止まったのは麻弥の頬の上。刺さるか刺さらないかという絶妙な位置。
「いいか! 痛い目に合いたくなかったら大人しくしてろよ」
麻弥が大和田の脅迫に頷くと布生地がダンボールの中に投入される。創作した人形に着せるための服の材料。洋服のドレスを作るための生地や着物のための生地。色や柄がバラバラな大量の生地感投入されて麻弥を隠す。
「少し急ぐか」
麻弥の入ったダンボールは台車に乗せられた。関係者用の出入口から大和田の作品のお化け屋敷がある場所へ。麻弥の殺害現場となる場所へヒッソリと誰にも見られることなく進んだ。
最初のコメントを投稿しよう!