双子の魔法にかけられて

高校(下澤裕貴)

　裕貴は真新しい制服に手を通した。シワ１つ無い制服を着ると新しい生活が始まるのだと実感し、背筋が伸びる。

　裕貴は机の上に置いてあったスマホを手に取った。メッセージが入っている。麻弥と沙弥からだ。連絡先を交換しあと「おはよう」とか「おやすみ」とか他愛のないやり取りが続いている。本当はもっと色んな話題で盛り上がりたい。けど、気の利いた話題が浮かばず、連絡が途切れない程度のやり取りで終わってしまっていた。

　裕貴は「おはよう」と返信した。すると直ぐに沙弥から返事が返ってきた。写真も付いている。

『JKデビュー☆どっちが私で、どっちが麻弥でしょう？』

その一言とセーラー服を着た可愛い双子の写真。普通の人が見たらコピペでもしたのかと思うほど、瓜二つの女子高生が並んでカメラにピースサインを向けていた。

「ふむぅ……。簡単過ぎじゃないか？」

　答えを送信しておく。因みに向かって右側にいるのが麻弥で、左側が沙弥だ。

　“正解”の二文字が送られて来たのを見たあと、裕貴は人生で２度目の高校入学式へ赴いた。