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昼休みになり沙弥の前に佳子が座った。沙弥のものと比較にならない重箱のような弁当箱。量も驚きだがそれ以上に中身の方が問題だ。
「いい加減そのご飯止めたら……?」
「えー? 生クリームかけご飯、ダメ? 甘くて美味しいよ?」
「いや。絶対、体に悪いから……」
沙弥も甘いものは好きだ。けれど、限度というものは絶対にあると思う。
「そんなことないよー。心身の健康維持するのに甘いものは必然不可欠なんだよぉ」
佳子は大きめのスプーンに生クリームがベッタリと付着した白米を頬張った。見ているだけで胸焼けしそうだ。
幸せそうに食べていた佳子は思い出したかのように声をあげた。
「それより私、考えたの! 朝のこと!」
「朝のこと?」
「沙弥言ってたじゃん『彼氏が欲しい』って」
「イヤイヤ……。欲しいなんて一言も言ってないから」
沙弥の言葉に佳子は「そうだっけ?」っと首をかしげた。
「私が聞いたのは“佳子に好きな男子がいるか”っだよ!」
「んー、でもそれって、沙弥が恋をしてるから私の意見を参考にしたいってことだよね?」
厳密には違うのだが、概ねは合っている。なので、細かいことは「まっ、いっか」っと思い肯定した。
「そうそう、そんな感じ」
「だよね! だよね! 沙弥、今恋してる感じするもん!」
言い当てたことが嬉しかったらしく、佳子は“してやったり”という顔だ。こんな顔されるくらいなら“違う”とキッパリ言うべきだったか? まぁ、麻弥と裕貴のことは伏せておきたいのでどちらにせよ、詳細は言えないのだが……。
「それで考えたって?」
「フッフッフッ! それはね、沙弥の恋を成就される方法」
のほほんとした佳子のことだ。どうせ碌なアイディアじゃない。それは分かっているが、こうも自信満々に胸を張られると気になってくる。
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