5月3日(天川姉妹)

1/3
前へ
/209ページ
次へ

5月3日(天川姉妹)

 穏やかな日々が続いている。雲がゆっくり流れ、暖かな日差しに抱かれて大きな欠伸をした。沙弥はスマホを手に取る。通販サイトから特売のメールが入っているだけで、凶悪な事件も悲惨な事件の速報も入ってきていない。無論、土砂崩れが発生したという速報も入ってきていない。    時間がたち冷めたコーヒーを啜って穏やかな空気に身を委ねた。  静かだ……。雀の鳴き声だけが聞こえてくる。 「そろそろ帰ってくるころか……」  裕貴のキャンプは2泊3日。今日終わるはずだ。特に深い意味はなく、呟いたのだが、タイミングよくスマホがなった。  予言してしまうとは麻弥のお株を奪ってしまったようだ。微笑を浮かべてメッセージを開く。 「…………おーー! これは面白くなりそう! 麻弥に伝えないと」  沙弥が向かうのは隣の部屋。物音1つ聞こえないが、外出するとは聞いていないのでいるはずだ。
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加