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 裕貴は沙弥の目を見た。現実から目を背けているような目じゃない。しっかりと現実を見据えて話している。 「下澤くん。今ならまだ麻弥を助けられる! お願い! 私に協力して!」  「無理だ。麻弥さんはもうこの世にいないんだ……。それこそ神様になるか、魔法でも使うか……そうじゃなきゃ助けるなんてできっこない」  裕貴の言葉を聞いた沙弥はニヤリと笑い肯定する。 「そう。その通りだよ。魔法が使えれば麻弥を助けられる!」 「魔法なんて、バカバカしい」 「信じられないのも無理ないよね? でも私も麻弥も魔法を使える。麻弥が使えた魔法は『未来予知』。それに対し私が使える魔法は『過去干渉』」  魔法が使えるなんて話しは荒唐無稽過ぎる。行き過ぎた妄想か或いは御伽話の中にしか魔法なんて存在しない。普段なら鼻で笑い飛ばし帰っているところだ。しかし、それをしないのは沙弥の瞳が特異な光を放ち始めたからだ。  まるで夜空を瞳に宿したかの如く細かい光が沙弥の瞳の中で無数に輝いている。 「なっ!? そ、その目は……?」 「証拠って訳じゃないけど、魔法を使うときこうなるの。今の私の眼には下澤くんの過去が見えてる」  特殊なコンタクトレンズを入れればこういう瞳を作れるのかもしれない。けど、今の沙弥の裸眼。特別な瞳をしているようだが、彼女の目は本当に過去を、みているのだろうか?   本当に魔法なんてものが……? 「仮に……仮に本当に過去に干渉できる魔法を使えたとして、何で僕に頼むんだ? 自分で助けることだってできるんじゃないか?」 「……とっくに試したよ。でもダメだった。何度も何度も繰り返して、それでも私じゃ麻弥の死の運命を変えれなかった」  その特異な瞳が諦念の感情に彩られた。    
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