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まだ着替えを終えておらず、公衆の面前に出られない人がいる。沙弥たちより後に入ってきた人は特に、だ。
“ほら、立派なカメラが付いてるんだろ、そのスマホ!”
窓がノックされた。カーテンには夏の日差しが作り出した人影がうつっている。
「さ、沙弥……。早く行こ? 絡まれると厄介だよ」
佳子に腕を引っ張られる。着替えはもう済んでいるから、このまま出ても問題はない。
でも…………。
佳子の腕を引き離した。
「とりあえず、ダメ元で先生呼んできてくれる?」
前回のテスト結果は出た。沙弥の成績が奴らより良ければ教師も重い腰をあげるだろう。
「沙弥。危ないから止めときなって」
「大丈夫大丈夫」
遠野と菊池は何とかなる。
「もう。麻弥……こんな面倒事あるなら先に言っといてよ」
佳子を残し、沙弥は更衣室を出た。そのまま屋外へ向かう。
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