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6月24日(天川麻弥2)
大きく麻弥の体が揺れた。気を失っていた麻弥はその振動で目を覚ます。
「ん……」
ボンヤリとしていた焦点が定まってきた。しかし、その目には光が一切届かない。
ーー私、どうしたんだっけ?
裕貴のためにお米を炊いていたところまで覚えている。そのあと何があったか記憶を辿った……。
ーー太い男の手、それに青白い稲妻。
全部思い出した。麻弥は「いや! 誰かぁ!」っと叫ぶが猿轡がそれを許さない。それに麻弥が奪われているのは声だけじゃなかった。体の自由も奪われていた。毛布のような布で包まれその上から粘着テープでぐるぐる巻にされている。鉄火巻のような状態だ。
一頻り足掻いてみたが猿轡も毛布も外れそうにない。
……暑い
暴れてみて分かったが、どうやらスーツケースに閉じ込められているらしい。お尻の下から伝わってくる振動と音はキャスターが道路を転がって発生しているものだろう。
スーツケースの中は満足に動けないほど狭い空間。しかも全身を毛布が包んでいる。汗が滝のように流れ、渇きが麻弥を襲い始めた。
ーー下澤くん。会いたい
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