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家に帰ると靴も揃えずにソファーに座り込んだ。
すごく体が重く感じる。
力が入らず、もう動けそうにない。
頭痛もひどくなってきていた。
玄関に置きっぱなしのバッグ。そのなかにあるスマホが音を立てていた。
じっとしていたが、なりやみそうにないので仕方なく重い腰を上げた。
玄関へいき、バッグからスマホを取り出して画面を見て溜め息が自然と出ていた。
母からだ。
「もしもし……」
『あら、覇気のない声ね。調子でも悪いの?』
「ううん、大丈夫。なに?」
『急に決まったんだけどね、どうせ用事もないでしょ?だから構わないわよね』
母は、昔から何もかも決めたがる人だった。
私の服も靴もバッグも雑貨も、お稽古ごとも友達まで指定された。
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