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翌日、KはYの実家に行き、Yの両親に昨日あったことを話した。Yの両親は疑うことなく、涙をこぼしながら聞いてくれたという。話が終わると、仏間に案内された。仏壇には、昨日神社で見たのと同じ顔をしたYの写真が飾られている。線香をあげていると、Yの母親が一台のスマホを持ってきた。目が、赤く腫れている。
「これね、Yのなの。なかなか処分できなくて」
「ちょっと失礼します」
スマホを受け取り、昨日のやりとりが残っていないか確かめようとした。しかしもう充電が残っていないようで、電源が入らなかった。
「コード、持ってこようか?」
「いえ。どうせ、パスワードが設定されているでしょうし」
Kは静かに笑って首を振った。自分の身に起こった事象を検証するよりも、Yのプライバシーを優先しようと思ったという。スマホを返し、もう一度Yの写真に手を合わせた。
「ありがとうね、遊んでくれて。息子も、嬉しかったと思う」
その声は嗚咽のせいで、ほとんど言葉になっていなかった。
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