夏の夜

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夏の夜

 家の、キッチンの窓の外に蜥蜴が訪れ始めたのは、梅雨の鬱陶しさが和らいできた頃だったと思う。  毎日夜になると現れる、夜だけの隣人  料理のたびに視界に映る蜥蜴。  まるで私を見守ってくれているかのよう。  もしかしたら家守なのかもしれない。  すりガラス越しの蜥蜴。  今日も私の料理を覗きにくる。  よく見ると蜥蜴も食事中みたい。  暗闇の中光を求めて窓に止まる虫。  それが蜥蜴のメインディッシュ。  舌でペロリと捕まえて口に運ぶ。  期間限定のお掃除人。  たまに口から逃げている虫もいるけれど。  その姿すら愛おしい。  その日、蜥蜴は二匹いた。  片方は追いやれられ何処かへ消えた。  残った蜥蜴はいつもの子?  すりガラス越しにしか会ったことがない。  だから私にはわからない。  今まで来てたのは同じ子だったのかな?  それも私にはわからない。      今日も蜥蜴は訪れる。  その子はあの日のあの子なのかな?      
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