0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
夏の夜
家の、キッチンの窓の外に蜥蜴が訪れ始めたのは、梅雨の鬱陶しさが和らいできた頃だったと思う。
毎日夜になると現れる、夜だけの隣人
料理のたびに視界に映る蜥蜴。
まるで私を見守ってくれているかのよう。
もしかしたら家守なのかもしれない。
すりガラス越しの蜥蜴。
今日も私の料理を覗きにくる。
よく見ると蜥蜴も食事中みたい。
暗闇の中光を求めて窓に止まる虫。
それが蜥蜴のメインディッシュ。
舌でペロリと捕まえて口に運ぶ。
期間限定のお掃除人。
たまに口から逃げている虫もいるけれど。
その姿すら愛おしい。
その日、蜥蜴は二匹いた。
片方は追いやれられ何処かへ消えた。
残った蜥蜴はいつもの子?
すりガラス越しにしか会ったことがない。
だから私にはわからない。
今まで来てたのは同じ子だったのかな?
それも私にはわからない。
今日も蜥蜴は訪れる。
その子はあの日のあの子なのかな?
最初のコメントを投稿しよう!