3人が本棚に入れています
本棚に追加
1
僕は有名な女性声優と結婚した一般男性。
ニュースにもなり、ファンからは悲しみの声がネット中に広がった。
でも、そんなものは一瞬ですぐに収まった。
それよりもファンには悪いが、女性声優という顔が本物の顔ではない。
これは女性声優の旦那である僕だから分かる話。
とある日。
「ただいまぁ~」
「おかえり」
遅くまで仕事をしてきた妻が帰って来た。
基本、僕の方が仕事が終わるのが早いので、料理を作り好きなアニメを見ている。
「あ、それ私が出てない奴じゃん!」
「いや、原作から好きだからいいだろ?」
「むぅ~。てか、ご飯!」
「はいはい」
一度、アニメを止めてキッチンへ行き、作っておいた料理をテーブルに持って行く。
「いただきます」
「はい」
「美味しい!」
「それは良かった」
毎日、食べているというのに、毎日のように褒めてくれる。
有り難いものだ。
「で、さっきのアニメの話だけど」
「え、何?」
「声優仲間がエロいとか」
「いや、アニメにエロ要素があるのは普通だろ?」
「それは知ってるけど、他の声優のエロい声で興奮されるのは断固として許せない!」
「おいおい、僕にアニメを見るなと?」
始まった。
アニメの話。
妻は自分の出ている作品を見て欲しいらしく、加えて出ていない作品は見ないでほしいらしい。
「そんなことは言ってないじゃん!」
「けど、今期のアニメ全然出てないし!」
「うっ!」
「もっと僕に見てもらえるように、オーディションを頑張りたまえ!」
「ふんっ! オーディションもなかなか大変なのよ!」
そう言い、少し膨れて口いっぱいにご飯を入れるのであった。
最初のコメントを投稿しよう!