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よりにもよって、手紙の内容をすべて口に出した慎。結局、恵に内容を知られてしまった。できれば、恵には知られたくなかったのに。デリカシーのない弟の口は、まだ止まらない。 「なんかうす気味わりぃよな? ラブレターだとしても差出人もわかんねーし、文面も意味不明だしさぁ。それにおまえの好きな奴まで知ってるって」 「そ、それは、勝手にこの人がいってるだけで、そんな人いないし……」 ふれられたくないところを口にする慎に、大あわてで全否定する。おかげで一気に体温があがった。 「なあ、これって、まさかストーカーとかじゃないよな?」 「ええ?」 慎の突拍子もない発言に驚きの声をあげた。 「ただのいたずらでしょ? エイプリルフールだから」 私がそう反論しても、慎はうーんとうなり、恵までも表情をかたくする。 「こんな訳のわかんねぇ手紙出すのがか?」 「……多分、そうだよ。きっと」 慎のつっこんだ疑問にボソボソと答えた。 「確かに今日はエイプリルフールだけど、おまえの誕生日でもあるじゃん」 「まあ、そうだけど……」
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