673人が本棚に入れています
本棚に追加
/218ページ
よりにもよって、手紙の内容をすべて口に出した慎。結局、恵に内容を知られてしまった。できれば、恵には知られたくなかったのに。デリカシーのない弟の口は、まだ止まらない。
「なんかうす気味わりぃよな? ラブレターだとしても差出人もわかんねーし、文面も意味不明だしさぁ。それにおまえの好きな奴まで知ってるって」
「そ、それは、勝手にこの人がいってるだけで、そんな人いないし……」
ふれられたくないところを口にする慎に、大あわてで全否定する。おかげで一気に体温があがった。
「なあ、これって、まさかストーカーとかじゃないよな?」
「ええ?」
慎の突拍子もない発言に驚きの声をあげた。
「ただのいたずらでしょ? エイプリルフールだから」
私がそう反論しても、慎はうーんとうなり、恵までも表情をかたくする。
「こんな訳のわかんねぇ手紙出すのがか?」
「……多分、そうだよ。きっと」
慎のつっこんだ疑問にボソボソと答えた。
「確かに今日はエイプリルフールだけど、おまえの誕生日でもあるじゃん」
「まあ、そうだけど……」
最初のコメントを投稿しよう!