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元ピアニストの理香子ちゃんが自宅で音楽教室を開いていたため、多分、私達三人に遊びがてらピアノを弾かせたのだと思う。
古賀家のピアノは大きなグランドピアノ。その前で恵がちょこんと座って、簡単にドレミファソラシドと弾いた。
それがキラキラ光る水のように澄んだ音色で、「わぁ…」と思わず声がもれるくらい感動したのを覚えている。心に綺麗な水が染みわたり、ふわっと花が咲いた。
『恵、もっと弾いて!』
私がそうたのめば、恵は嬉しそうに笑ってピアノを弾いてくれた。私と恵が三歳の頃のことだ。
それからは、ピアノが遊び道具の一部となった。恵がめちゃくちゃに弾くピアノに合わせて慎と踊ったり、恵と私が連弾したり……
『小春、次、なに弾こうか?』
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