1

15/15
671人が本棚に入れています
本棚に追加
/218ページ
こんなものもらうのも、今日が四月一日だからだよ…… 八つ当たりのように、手紙をゴミ箱へと落とす。コトンと音を立ててゴミ箱の底へと到着した手紙。 「小春、どうした?」 心配そうに私の顔をのぞきこむ恵。いつも私のことを気にかけてくれる。その優しさに胸がキュンと高鳴る。そして、同時に切なくなる。 だって、恵は、私のことを世話の焼ける妹ぐらいにしか思っていない。でも、それでもいい。幼馴染としてでも、恵のそばにいられるのなら…… 「ううん、なんでもない」 私はどうしようもないジレンマをひた隠しにして、笑顔で答えた。 やっぱり……一日だけ恵より年上になる、この日が嫌い。
/218ページ

最初のコメントを投稿しよう!