684人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、今年の四月から高校一年生の恵。恵より三六四日遅く生まれた慎も同じく高校一年生となり、私だけが一学年上の高校二年生。
なぜなら、学校教育法という法律で、四月一日生まれまでは早生まれとみなされるからだ。この法律のおかげで、たった一日違いなのに、私と恵は一学年の差。ほぼ一年違いなのに、恵と慎は同学年。
なんで三月三十一日で区切らないのかな? 不思議でしかたない。
「さてと、始めるか。小春」
「うん。そうだね」
「よっしゃ!」
私は、お皿とフォークを三つずつ持ってきて、それぞれに配る。慎は、グラスに三人分のジュースを注ぐ。恵がケーキを箱からとり出すと、イチゴのたくさん乗ったホールケーキ。いつも通り、ろうそくを三本立てる。赤、青、緑。そこへ火を灯す。
「それでは……」
「ハッピーバースデー!」
三人で声を合わせ、フーッとろうそくの火を吹き消した。赤のろうそくは私、青は恵、緑は慎。これもいつも通り。
私達は、物心ついた頃からこうやって自分達の誕生日をお祝いしてきた。四月一日に三人分まとめて、三人だけで。
「とうとう私も十七歳かぁ」
「俺は十六歳だけどね」
最初のコメントを投稿しよう!