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ラッピングを解くと、恵のプレゼントは淡いシルバーピンクの文字盤のシンプルでかわいい腕時計。慎は、私のイニシャルが入ったビーズのストラップと花柄のスマホケース。恵から慎へのプレゼントは、スポーツブランドのタオルとTシャツ。慎から恵へは、私とは違うタイプのイニシャル入りストラップとヘッドホン。 それぞれのプレゼントを批評しながら、ケーキを食べる。大体、あーでもないこーでもないといい合いを始める慎と私を恵が聞き役となって仲裁する。 でも、二人のチョイスはいつも私のことを心得ている。腕時計が壊れたばかりだし、携帯を機種変したばかりだし、さすがだ。 「小春、ありがと。ちょうどパスケースが欲しかったんだ」 恵ははにかんで、私にお礼の言葉をかける。すると、それだけでキュンと音を立てる胸の内。 「この時計、すごく気に入ったよ。大切にする」 私も笑顔で返す。 「おい! 俺のは?」 「もちろん大切に使わせていただきます!」
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