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そんな事を考えつつ俺は、急いで魔素鳥の周辺に魔法障壁を張りました。このままお師匠様が法具から刃を放てば、その被害は魔素鳥を超えて周囲に及ぶからです。
セリスの自宅があるこの場所を荒らした日には……、あの婆に何を言われるか分かりません。
お師匠様の攻撃が始まりました。
さすが白金翼の力。俺の魔法障壁も、気を緩めれば簡単に崩壊してしまう威力です。
法具から放たれた刃は魔素鳥の命が尽きるまで、一本残らずその身体を貫きました。そして命尽きたモンスターの身体は、灰となって消滅したのでした。
さすがお師匠様。10年前に魔王と互角に戦ったあの強さは、今も健在のようです。
俺は息を吐くと、防御壁を解きました。魔素鳥がいた場所に大きな穴が開いていますが……、まあ、生ごみを捨てる穴だとセリスに言い訳でもしましょう。
ふとディディスの様子が気になり、ドアの方を見ましたが、奴の姿はどこにもありませんでした。慌てて辺りを見回すと、奴の姿はお師匠様の後ろにありました。
どこで見つけたかは分かりませんが、タオルを差し出しながら片膝をついて、頭を下げていました。
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