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「先ほどは大変失礼いたしました。両翼の聖女リベラ・ラシェーエンド様。銀翼だとされていたあなた様が……、まさか白金翼だったとは驚きでした」
……だから言ったのに。
俺は諦めたように、肩を落としました。確か、お師匠様はご自身が白金翼である事を、セリスからの言いつけで隠していたはず。俺が知ってしまった時も、黙っておくように滅茶苦茶頭を下げられたことを覚えています。
あの方も同じことを思っているようで、明らかにしまったという表情をされていました。そして、ぎこちない動きでタオルを受け取ると、
「あっ、うん、ありがと。……あ、別にそんなかしこまらなくてもいいよ。さっきみたいな感じで……」
と、奴の変わりように若干引きながらタオルの礼を言われました。
普通、そう言われても、あの両翼の聖女の前で態度は変えないですよね。ですが、それをコロッと変えるのが、ディディスって奴なのです。
ディディスは先ほどのちゃらちゃらした雰囲気を戻すと、馴れ馴れしくもお師匠様の両肩に手を置きました。
「あ、そう? それじゃお言葉に甘えて。まさかこんなちっさい人が、あの両翼の聖女だなんて、おどろき……ぐふっ」
気が付いたら、俺に拳が奴の横っ腹を殴っていました。無意識とは、本当に恐ろしいものですよね、ええ。
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