やっとここまで

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私は(ヒト)院議員担当記者として、石清水敏治朗、内閣官房長官の私邸に来ていた。 AI内閣が起こした不始末、記録的短時間豪雨の対応について意見を聞くためだ。 石清水官房長官は若い頃、イケメン2世議員ともてはやされた。 30代で国交相にまでなったが、経験も実力もなく、勉強不足で失脚している。 「この川のカーブ、色っぽい」 「(くい)」 当時、子どもだった私からみても、阿呆な発言ばかりだったので、仕方あるまい。 ところがこの敏治朗、AIとは相性が良かったか、今は内閣官房長官だ。 国会(ヒト)院議員は、わずかに47名。 そのうち半数が内閣総理大臣以外の担当大臣と副大臣だ。 内閣総理大臣と、内閣官房副長官はAI(アイ)院議員である。 AI院は議席数が人院の10倍、プラス1台だ。 (ヒト)院議員より、AI(エーアイ)の方が公明正大、私利私欲に走らないのだから当然だ。 会議中に居眠りなどしない。 記憶力も良く、計算も速い。 国政や立法、予算編成などはAIが行い、人はそれを追認するだけになっている。
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