二章◆山あり谷あり

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そんな時はやはり愚痴るに限る。 仕事終わりの愛美と待ち合わせをして、久しぶりに繁華街まで出掛けておしゃれな創作料理店で女子会だ。 仕事の愚痴をと思っていたのに、愛美が聞きたいのはそれではない。 とりあえずビールで乾杯をして、さっそく愛美が切り出した。 もちろん話題は杏奈のお見合いのことだ。 「でさ、ほんとに断ったの?」 「断ったわ。」 「えー、もったいない。」 杏奈の言葉に愛美は大げさに驚く。 杏奈はため息ひとつ、じとりと愛美を見て言う。 「なんであなたまでそう言うわけ?」 「だってそんな優しい人、もう出会えないかもよ?」 「この前はヘタレとか言ってたくせに。」 「だからー、ヘタレと優しさは紙一重だって言ったでしょ。」 運ばれてきた枝豆を杏奈に勧めつつ、愛美は持論を展開する。 「もう、ほんと意味不明なんですけど。はー、雄大みたいな人いないかなー。」 ビールを煽りながら杏奈はぼやく。 元彼である“雄大”という名前を久しぶりに発した気がした。 何だか懐かしい気分になる。 「おっ?未練かい?」 「違うわよ。何かこう、私のモチベーションあげてくれる人がいい。」 「また難しいことを。」 目標でありライバルであり、でもいざというときちゃんと助けてくれる。 雄大はそんな男性だった。 雄大に未練はない。 だけど今でもそんな男性が杏奈の理想だ。 二人はビールをおかわりし、運ばれてきた料理にも手を付け始める。 久しぶりの女子会は楽しくて、料理もお酒も美味しいし、つい調子に乗って飲み過ぎた。
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