五章◆好きな人

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広人は顎に手をあてながら考える。 「お揃い、いろいろしましょうか。そうですね、例えばペアルックとか?」 言われてペアルックを想像してみると、とたんに恥ずかしくなって手を振って否定する。 「ええっ!そこまではしなくていいです。例えばコップとか茶碗とか歯ブラシとか、そういう小物で…って、何照れてるんですか?」 広人を見れば頬をピンクに染めながら口元を手で覆っている。 「いや、すみません。ちょっと想像してしまって。何でもないです。」 例えに日用品を出してくる杏奈に、広人は一緒に住む…という想像をしてしまったのだが、当の杏奈はそのことにまったく気付いておらず不思議そうな顔をする。 今日のこのお見合いは、お見合いだったのかなんなのか、とりあえず円満に終了したのだった。
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