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午後も、茜は萌衣に気を遣ってか、私に話し掛けてくることもなく、私もその雰囲気を察して話し掛けることはしなかった。ただ、私には今、また新たな悩みが発生している。
それは、今の学活が終わった後に、萌衣と同じバドミントン部の活動に行くかどうかである。
…はぁ、昨日も休んでいるから、行かないといけない気持ちはあるんだけど、今の萌衣との現状じゃ練習に集中できないだろうしなぁ。あ!逆に萌衣が行かないかもしれないな。
そう考えて、チラリと萌衣の席を見ると、萌衣はしっかりとラケットケースを握っており、行く気満々な雰囲気が見てとれた。
そりゃそうだよね。今は夏の大会に向けて追い込みの時期だし。私も行かないわけにいかないしなぁ。
「一乗谷!話聞いてるのか!?」
ぼーっと考え事をしている私を、古尾谷が見逃すわけもなく、本日2度目のお叱りを受けてしまった。
「は、はい。き、聞いてます…よ。」
「なら、私が今言ったことを言ってみろ。」
「へ?…え、えっと。」
困っている私を見て、茜が背後から小声で教えてくれて、私は茜の言葉のまま答えることにした。
「あ、明日は通知表を渡すという話…です。」
「…ふん。明日で終わりなんだから、あまりぼーっとしないようにな。」
古尾谷はどこか悔しそうな表情で、帰りの学活を締めた。
私はすぐに後ろに振り返って茜にお礼をした。
「ありがとう、茜。」
「気にしないで。萌衣に見つかるとまた厄介だから、私はもう退散するわ。部活頑張って。」
茜は、萌衣にもひと言愛殺して教室から出ていった。
…茜の立場も大変だよね。私が萌衣と仲直りすればいいんだよね。
萌衣をチラリと見ると、同じタイミングで萌衣も私を見てたため、目が合ってしまった。私は、話し掛けるタイミングだと思ったが、萌衣はすぐに視線を逸らし教室から出ていった。
私は萌衣とわざと距離を置くために、ゆっくり用意してから教室を出た。いかんせん萌衣への接し方の答えが出ないまま、とりあえず部室に向かうため、階段を下りようと廊下を曲がった。
「…っ!?」
すると、萌衣が壁に寄り掛かりながら立っていて、私を待ってたかのように、鋭い視線で私を見つめた。
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