幼馴染みへの恋敵

13/15
前へ
/53ページ
次へ
午後も、茜は萌衣に気を遣ってか、私に話し掛けてくることもなく、私もその雰囲気を察して話し掛けることはしなかった。ただ、私には今、また新たな悩みが発生している。 それは、今の学活が終わった後に、萌衣と同じバドミントン部の活動に行くかどうかである。 …はぁ、昨日も休んでいるから、行かないといけない気持ちはあるんだけど、今の萌衣との現状じゃ練習に集中できないだろうしなぁ。あ!逆に萌衣が行かないかもしれないな。 そう考えて、チラリと萌衣の席を見ると、萌衣はしっかりとラケットケースを握っており、行く気満々な雰囲気が見てとれた。 そりゃそうだよね。今は夏の大会に向けて追い込みの時期だし。私も行かないわけにいかないしなぁ。 「一乗谷!話聞いてるのか!?」 ぼーっと考え事をしている私を、古尾谷が見逃すわけもなく、本日2度目のお叱りを受けてしまった。 「は、はい。き、聞いてます…よ。」 「なら、私が今言ったことを言ってみろ。」 「へ?…え、えっと。」 困っている私を見て、茜が背後から小声で教えてくれて、私は茜の言葉のまま答えることにした。 「あ、明日は通知表を渡すという話…です。」 「…ふん。明日で終わりなんだから、あまりぼーっとしないようにな。」 古尾谷はどこか悔しそうな表情で、帰りの学活を締めた。 私はすぐに後ろに振り返って茜にお礼をした。 「ありがとう、茜。」 「気にしないで。萌衣に見つかるとまた厄介だから、私はもう退散するわ。部活頑張って。」 茜は、萌衣にもひと言愛殺して教室から出ていった。 …茜の立場も大変だよね。私が萌衣と仲直りすればいいんだよね。 萌衣をチラリと見ると、同じタイミングで萌衣も私を見てたため、目が合ってしまった。私は、話し掛けるタイミングだと思ったが、萌衣はすぐに視線を逸らし教室から出ていった。 私は萌衣とわざと距離を置くために、ゆっくり用意してから教室を出た。いかんせん萌衣への接し方の答えが出ないまま、とりあえず部室に向かうため、階段を下りようと廊下を曲がった。 「…っ!?」 すると、萌衣が壁に寄り掛かりながら立っていて、私を待ってたかのように、鋭い視線で私を見つめた。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加