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「…で、たっくんと何かあったの?」
はい、確信聞いてきた。絶対にバレたくない。告白されたならまさしも、私から告白して、しかもフラれたなんて絶対に知られるわけにはいかない。私は、白飯を口いっぱい頬張り、話せない状況をつくりながら、どう答えるかを考えていた。
「ナミちゃん、たっくんに好きって言われたのぅ?」
またもや、未就学児らしく直撃を食らわしてくる妹。私は口をモグモグしながら、妹に顔を向けて首を横に振った。
「美波(みなみ)、お姉ちゃんを困らせないの。」
どの口が言ってるんだと、私は母に突っ込みたい気持ちを押さえて、白飯をゴクンと飲み込んだ。
「2人とも変なこと言わないでよ。あれよ、あれ。し、進路!」
「進路?波音は何よりも近いのが一番だから、すぐそこの西湘高校だって言ってたじゃない。茜(あかね)ちゃんたちとも一緒だしって。」
「…え、えーと、あれよ!バドミントンが強い高校がいいしさ、もっと調べてから決めないとって思って、タクに相談したの!」
それなりの内容の精一杯の嘘だった。母は、多分何かを見透かしているようで、「ふーん。」の一言で立ち上がって、食べ終わった食器を片付け始めた。
その隙に、残りのご飯をかき込むと、お茶で流し込んで「ご馳走さま!」と言いながら立つと、足早にダイニングから出ていった。
「変なナミちゃん。」
「美波、お姉ちゃんは青春中なのよ。」
「せいしゅんちゅー?」
そんな2人の会話を背後に聞きながら、階段を上った。
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