幼馴染みへの恋敵

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いつもの時間通りに朝が過ぎていき、いつもの時間に玄関を出ると、いつものように拓海は私の家の塀に寄り掛かってスマホを眺めていた。 「おはよ!」 私はいつものように元気に手を挙げながら微笑んだ。 「お、おはよう。」 拓海は、予想した私と違ったようで、ぎこちなく返事をした。拓海の顔を見ると、目が真っ赤に腫れていて、顔もむくんでいるように見えた。 「タク、大丈夫?もしかして、ほとんど寝てない?」 「え?いや、まぁ少し寝たくらいだけど…そんなに酷い顔してるか?」 私が頷くと、拓海は慌てて鞄から手鏡を取り出し、顔を確認した。 「うわ、目が真っ赤だな。ははは、こりゃ酷い顔だわ。朝ぼーっとしてて、鏡もろくに見てなかったんだ。」 「…ごめん、私のせいだよね?」 「ううん、そんなことないよ。俺自身の問題だから。」 「ほら、せっかくのイケメンが台無し!寝癖ついてるし!」 私が笑いながら、拓海の寝癖を手で梳かすと拓海の表情も柔らかくなり、なんだかいつもの感じになれた気がした。14年の人生のうち、14年一緒に居る関係ってのは、こういうことなんだと、お互いがお互いをなんだかんだよくわかってるんだなと感じた。 「おい、バカップル!」 聞き慣れた声に振り返ると、親友の茜と萌衣(もえ)が呆れた表情で立っていた。 「あんたたち、いい加減付き合ってること認めたら?ねぇ、萌衣。」 「う、うん。」 ガツガツくる茜に対し、萌衣は大人しく同調するのみだった。タイミング的に気まずい表情の拓海を見た私は、一歩前に出て笑いながら答えた。 「ハハハ、だから無いってば。私とタクは合わないもん!ね!」 ぼんやりする拓海に肘打ちした。 「あ、あぁ。俺たちは付き合うとかそういう次元じゃないからな。」 「ま、幼馴染みってそういうものなのかね。」 茜が萌衣に言うと、萌衣はコクンと頷いた。 「ほら、学校遅れちゃうよ!」 私は話題を変えようと、そう言って走り出した。
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