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プロローグ
(ねぇ、愛理。目を覚まして……)
私は頭の中で響く愛夢の声に意識を取り戻した。
(ほら、愛理。目を開けてごらん……)
その声にゆっくりと両眼を開いた。徐々に霞んだ視界が鮮明になっていく。
「えっ?」
その時、私は遥か彼方まで続く真っ白な雲の絨毯の上に居た。
首を振って自分の身体を見渡すと私は赤いワンピースを着て裸足のまま……、そして清冽な空気の流れの中に浮かんでいる。爽やかな風が髪の毛とスカートの裾を揺らしている。
見上げると煌く綺麗な青空が眩しく感じる。でも周りをいくら見渡しても太陽が見えない
足元を見ると、ゆっくりと動いている雲の上、数十センチに私は浮かんでいる。足元の雲は風を取り込み、渦を巻いて様々に表情を変えている。
(ねぇ、愛理。彼はあそこに居るよ)
頭の中で愛夢の声がする。
「えっ? 誰が? どこに……?」
(……彼よ……、あっち!)
その声と共に、身体が雲の表面から勢いよく離れた。
「えっ? わぁー!」
次の瞬間、私は雲の上を高速で飛んでいた。物凄い勢いで雲の絨毯が後ろへ流れていく。
「凄い! 綺麗!」
白い雲と吸い込まれそうな真っ青な空の輝きに感動しながら、頬に当たる心地よい風を感じていた。
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