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 翌日からは、またハードな訓練日程が繰り返されていった。  空は既に実機での訓練に入っており、万優もまたシミュレーターでの訓練も終わりに近づいていた。 「……遅いなぁ……」  午前零時を廻り、万優は居間のテレビを消してダイニングに腰掛けた。  目の前にはラップの掛かった皿と、伏せた茶碗と椀、箸が一膳。  空はまだ帰宅していなかった。もう二時間も空のための夕飯は、この状態になっている。  万優は、そんなテーブルに突っ伏してため息をついた。その勢いで欠伸も出た。 「……空……」  呟くと、すっ、と静かな空間に溶けてしまう。  まるで、この世に一人きりになった感覚。  その静かな空間に割って入る様にダイニングに置きっぱなしだった携帯のコールが響いた。 「も、しもし……」  半分寝ていた頭を起して万優が出る。 『……まだ起きてたか』 「空……」 『今から帰る……っても、三十分以上かかるから、先に寝てていいぞ。明日も早いだろ』 「うん……でも……」 『いいから、おやすみ。――愛してるよ』 「空……ありがと。じゃあ、おやすみ」  俺も愛してる、と返してから万優は電話を切った。  そして、ゆっくりと伸びをしてから、寝室へ入りベッドへと潜り込んだ。  ――仕方ないという言葉は、好きじゃないけど、これは多分仕方ないことなんだ。  翌日の訓練に響くと拙いし、気持ちは通じてるんだから……少しも寂しくない。空と逢う時間がなくても、直接触れることが出来なくても。  万優は、そんなふうに、自分を納得させていた。
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